睡眠時無呼吸症候群 (SAS)とは、眠っているときに呼吸停止または低呼吸の状態が引き起こされる病気です。その発症の一因として肥満が挙げられることから、生活習慣病のひとつとして取り上げられる機会が増えています。また、トラックや長距離バスの運転手、電車の運転士などがこの病気になると危険であるとされています。睡眠時無呼吸症候群は、日中の活動にさまざまな影響を及ぼすだけでなく、高血圧や心血管系障害の発症や悪化につながることも報告されています。
当院では、簡易型終夜睡眠ポリグラフィー検査を受けて頂き、確定診断となれば、そのまま自宅にてCPAP療法(持続陽圧呼吸療法)による治療を開始できます。(精密検査が必要な時は、連携病院に紹介させて頂きます。)

原因

睡眠時無呼吸症候群は、閉塞性(OSA)と中枢性(CSA)に大別されます。

・閉塞性(OSA)

睡眠中に上気道がふさがってしまうことで発症します。具体的には、下記のような原因で上気道がふさがります。 肥満による首周りへの脂肪のつき過ぎ 扁桃の肥大 アデノイド:鼻の奥とのどの間にある咽頭扁桃と呼ばれるリンパ組織の肥大 上気道への舌の落ち込み 下顎が小さい

・中枢性(CSA)

脳による呼吸のコントロールがうまく効かなくなることが原因です。

症状

無呼吸は、医学的には「気道の空気の流れが10秒以上止まった状態」と定義されます。無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、 もしくは1時間あたり5回以上確認されると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。この無呼吸症状は、睡眠中の出来事であるために本人が自覚することが難しく、家族など身近な方に指摘されて発覚する場合が多く見受けられます。
本人が自覚しやすい症状としては、日中の強い眠気や夜間の頻尿が挙げられます。男性の場合、加齢により前立腺肥大を伴う方が多いため、夜間の頻尿にそれほど疑問を持たないことが多いです。睡眠時無呼吸症候群による頻尿には、日中の頻尿や排尿障害などがないので、前立腺肥大による頻尿とは鑑別が可能です。

検査・診断

睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、自宅にて簡易型終夜睡眠ポリグラフィーを行います。これは指先と鼻と胸に簡単なセンサーをつけて、就寝していただきます。装置は小さいので邪魔にならず、つけたままで十分寝ていただくことが出来ます。1~2泊分の検査が終了後は解析を行い、睡眠時無呼吸の診断、程度を検討します。
簡易型検査で十分診断がつかない場合には、入院での精密検査が必要になりますので、近隣の連携病院をご紹介します。

治療

睡眠時無呼吸症候群の主な治療としては、生活習慣の改善、マウスピースの使用、持続陽圧呼吸療法(CPAP)が挙げられます。当院では持続陽圧呼吸療法(CPAP)を導入しております。

・生活習慣の改善

睡眠時無呼吸症候群は、その原因のひとつに肥満が挙げられ、生活習慣との関係が指摘されています。生活習慣を改善し、体重を減らすことで無呼吸が改善する場合があります。必要な方には、寝酒の禁止、枕の高さの調整、側臥位寝の推奨などの指導が行われることもあります。

・マウスピースの着用

症状が軽度の場合、マウスピースの使用でいびきの解消や気道閉塞の改善が認められることがあります。

・持続性陽圧呼吸療法(CPAP)

症状が中等度以上の場合、持続陽圧呼吸療法(Continuous Positive Airway Pressure:CPAP)が選択されます。自宅にて毎日の睡眠にマスクを装着し、鼻から空気を送り続けることで上気道を開く方法です。CPAP装置はレンタルにより自宅にて継続的に使用することができます。おおよそ月に一度通院頂き、解析結果を見ながらご一緒に治療効果を検討していきます。
当クリニックでは一度外来に来て頂きましたら、検査、治療など機械の説明は担当業者が直接、ご自宅にお伺いしますので、ご負担なく開始できます。