西洋医学の薬だけではすっきりしない諸症状に漢方薬が有効な場合があります。風邪、肥満、冷え性、更年期障害、頭痛、こむら返り、頻尿、倦怠感など、薬草の性を考え、効果のある漢方薬を一緒に探して行きましょう。

漢方薬は自然界にある植物や鉱物などの生薬を原則として複数組み合わせて作られた薬で、いわば “食物の延長” とも言えます。漢方薬の上手な使い方としては、西洋医学のほうが得意である分野では西洋医学で対応し(例えば、血圧を下げる、細菌を殺すなど)、西洋医学では対応しにくい不定愁訴や検査には表れにくい不調は漢方医学で治療する。こうすることで治療の幅が広げることです。(江川卓選手や大谷翔平選手のような有能なピッチャーになるには直球だけでなく、カーブやフォークが必要ですよね。)多くの漢方薬は、その人の体質や症状に合ったものでないと十分に効果を発揮することができまん。当クリニックでは西洋医学を基軸に、一人一人に応じた末永く愛称のあう漢方薬に出会う旅をお手伝いします。

代表的な漢方薬

①芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)

芍薬甘草湯

こむら返りを代表とした急に起こるさまざまな痛みに効果を発揮
急激に起こる筋肉のけいれんをともなう痛みに対してよく用いられ、こむら返りの薬として知られています。 そのほか、内臓の筋肉のけいれんにともなう痛みにも広く用いられ、胃痛や、胆石・尿路結石の発作時の疝痛(せんつう)、月経痛などにも応用。

②葛根湯(カッコントウ)

葛根湯

漢方のかぜ薬として知られ、慢性頭痛や肩こりにも用いられる。
昔からなじみのかぜ薬のひとつで、初期の症状に有効です。また、うなじや背中が緊張しているようなときにも用いられ、慢性頭痛、なかでも緊張型頭痛や、肩こりの治療でもよく処方される薬です。(江戸時代には何にでも効く漢方とされ、古典落語に「葛根湯医者」というものがあります。)

③安中散(アンチュウサン)

安中散

胃薬の効かないみぞおちの痛みに用いられる。
胃カメラなどの検査では特に異常が見つからない胃痛、胃もたれに効果があります。「安中散」は、やせ型で比較的体力が低下した方に使用されます。普通の体型の方には「六君子湯」という漢方薬を用います。処方箋なしで買える市販の漢方胃腸薬は、多くが「安中散」を基本につくられています。(小〇旬さんがCMに出ている大〇漢方胃腸薬のことですね。)

④桔梗湯(キキョウトウ)

桔梗湯

風邪の喉の痛みに効果的
のどが腫れて痛みが強い桃炎、桃周囲炎などに用いられる。膿のような痰が出る場合にも用いられる。飲み方ですが、白湯に溶かしてうがいをし、それを“ごくっ”と飲んで下さい。(オフィスにて500mlのペットボトルのお水に桔梗湯を3袋とかし、暇があるときに喉でゴロゴロとして飲んでください。)

⑤大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)

大黄甘草湯

便秘に使われる代表的な漢方薬
便秘に使われる代表的な漢方薬で、それにともなう腹部膨満感や皮膚炎、吹き出物にも用いられます。

⑥補中益気湯(ホチュウエッキトウ)

補中益気湯

漢方処方で困ったときの“補中益気湯”です
さまざまな不調が処方の対象となります。気力がわかない、疲れやすいといった人から、胃腸虚弱、かぜ、寝汗など、また、病後・産後で体力が落ちているときや夏バテによる食欲不振にも使われます。元気を補う漢方薬の代表的処方であることから、「医王湯(イオウトウ)」ともいわれます。

⑦麦門冬湯(バクモンドウトウ)

麦門冬湯

古くから、咳が続くときに用いられた薬
広く咳の治療に用いられる古典的な処方です。かぜのあとに残って長引く咳や、声がしわがれたときにも用いられています。気管支炎、気管支ぜんそくなどの病気の治療薬としても使われることもあります。

⑧抑肝散(ヨクカンサン)

抑肝散

「肝」の高ぶりを抑える働きがある
漢方では「肝(かん)」が高ぶると、怒りやイライラが現れると考えます。「抑肝散」はこの「肝」の高ぶりを抑えることから名づけられた漢方薬です。もともと子どもの夜泣き、疳(かん)の虫に使われていた薬で、現在は大人の神経症状にも使われています。怒りっぽい、興奮しやすい、イライラするなどの症状のある人に用いられます。(最近、このような症状に思い当たる方、おられませんか?)

⑨当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)

当帰芍薬散

冷えをともなう婦人科系の諸症状を改善
“産婦人科の三大漢方薬”の一つで、月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害などによく用いられるほか、産前産後の不調(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)などにも使われます。妊娠中にも医師を相談することにより投与可能です。

⑩小青竜湯(ショウセイリュウトウ)

小青竜湯

鼻水と痰が出るかぜやアレルギー性鼻炎に
鼻水や痰、くしゃみ、鼻づまり、咳などの症状があるときに用いられる薬で、かぜやアレルギー性鼻炎などでよく処方されています。眠気の副作用がなく、花粉症、鼻水、結膜炎の治療にも使われています。そのほか、鼻炎、気管支炎、気管支ぜんそくなどにも用いられます。